
1873年から5年の歳月と当時のお金で3万ドルの費用をかけて、サンタフェの町にゴシック建築の美しい教会が建設されました。これがロレットチャペルです。チャペルの天井は吹き抜けになっていて、後方には聖歌隊用に2階の桟敷が設けられています。しかし、この桟敷に登るための階段がありません。実は、礼拝堂が小さいので階段を取り付けるスペースがなかったのです。
そこで、聖歌隊の席に登るために梯子が用意されましたが、修道女達は梯子を使うことをとても怖がりました。そして、9日間の祈りに入りました。その祈りは聖母マリアの夫である聖ヨセフに捧げられたそうです。なぜならヨセフの職業は大工だったからです。
9日間の祈りの最後の日、どこからともなくロバを連れ大工道具箱を持った白髪の男が訪ねてきました。そして、ハンマーとのこぎりとT定規というわずかな道具で、スペースがないチャペルに場所を取らない螺旋階段を作り、聖歌隊の桟敷に安全に昇り降りができるようにしてくれました。
この階段は33段、完全に360度を2回転するらせん状になっています。木の釘は使われていますが、鉄の釘は一本も使われていません。そして驚くことに、螺旋階段を支えるはずの支柱がなく、まるで宙に浮いているようです。螺旋階段を作った男は賃金も受け取らず消えたそうです。支柱のない螺旋階段は、現在の科学を持ってしても建築工学上の謎であり奇跡なのです。
螺旋階段には手すりがありませんでしたが、乗り降りするたびに上下にゆれるので、修道女達の希望で後に手すりが取り付けられました。そして85年間もの長きに渡り毎日使われてきましたが、現在は保存するために使用が禁止されています。しかし、唯一つ例外があります。それは、ここで結婚式を挙げたカップルだけは、この奇跡の螺旋階段に登り記念撮影を撮ることができるのです。日本の皆さん、ロレットチャペルで結婚式を挙げてはいかがですか?

サンタフェから世界遺産タオス・プエブロ・マンションまで続くハイウェイ76号線道は、昔から「タオスへの道」と呼ばれてきました。この沿線にはスペインの影響を受けた古い町や村、そして有名な女流画家ジョージア・オキーフが好んだ風景が続きます。この沿線にチマヨという村があります。小さくともこの村はチマヨ織りという織物で世界的に有名です。しかし、もう一つ有名なものがあります。それはサントワリオ・デ・チマヨと呼ばれる小さな教会です。
この教会の祭壇の横に小さな部屋があります。覗いてみると、床に小さな穴があり、中には砂が入っています。この砂は「奇跡の砂」と言われていて、痛いところや病気のところに塗ると治ると言い伝えられています。控えの部屋には治った為に置いていかれた松葉杖やギブスが保管されています。復活祭には毎年数千人におよぶ巡礼者が訪れます。

タオスの町に入るところに、サンフランシスコ・デ・アシスという美しい教会があります。ジョージア・オキーフはなぜかこの教会の正面ではなく裏側を何枚も描いています。この教会の別棟にある集会所に、ガレリア湖畔にたたずむ等身大のイエス・キリストの肖像画が飾られています。
左右中央どの位置から見ても、キリストの目と足首は絵を見ている人の方を向きます。しかし、この絵にはもっと不思議な事があるのです。部屋の照明を消すと……当然真っ暗になり、絵も何もかも見えなくなります。しかし、暗闇の中で目が慣れてくるに従い、目前の絵の中のキリストが黒くシルエットで浮き上がり、背景がだんだん明るくなってくるのです。そして、キリストの左側に、なんと絵には描かれていなかった大きな十字架が現れたのです。また右下には、やはり絵には描かれていなかった船が浮かび上がり、人によっては直進してくるように見えるのです。中には、キリストの衣が風にゆれているように見える人もいるのです。
電気をつけて部屋を明るくすると、絵はもとの絵に戻ります。何度照明を消しても同じことが起こります。絵は1896年に描かれたそうで、修復を必要としていますが、なぜ暗くすると十字架が見えるのか、いまだ解明することができないため、修復できないでいます。

州都サンタフェから300km南、ニューメキシコ州の南東にロズウェルという町があります。そうです、テレビ番組にもなったあの「ロズウェル」です。1947年にこの町にUFOが墜落しエイリアンを解剖したそうです。ここには世界唯一のUFOミュージアムInternational UFO Museumがあり、当時の新聞や雑誌の記事が展示されています。また、ロズウェルにはUFOに拉致された人や、無事帰還した人などが多いとか・・・さて、真実の程はどうでしょう。ちなみに、UFOミュージアムにはホルマリン漬けになったエイリアンはいませんので、がっかりなさらないでください。

ニューメキシコ州は大自然も不思議です。ニューメキシコ州の南西に、まるでスキー場にいるような錯覚におちいる白い砂の砂漠があります。ホワイトサンズ国立モニュメントと呼ばれています。白い砂漠の上には、真っ青な空が360度広がっています。天気が崩れてくると、晴天のところと、黒い雲が出て激しく雨が降っているところが一度に目に飛び込んできます。やがて日が傾いて夕焼けが始まると、それは一大天空ショーのようになります。黄金色や茜色に刻々と変わる雲と雲の間からビームのように差し込む夕日。それにともない、周りの白い砂が夕日に染まりピンク色に変化していきます。そしてそこにたたずむ人々の身も心もピンクに染まっていきます。これほど幻想的な夕日を体験できる場所は他にはないでしょう。

もうひとつ、とっても不思議なニューメキシコの大自然。それは世界遺産にも登録された「カールスバッド鍾乳洞国立公園」です。そもそも、なぜこの洞窟が発見されたのか……とても面白い話があります。ある日の夕方、地元の人が山を見ると黒い煙が上がっていました。大変だ、山火事だと調査したところ、まったく火事の痕跡がありません。しかし、毎日夕方に黒煙が上がるのです。
よくよく調べてみると、それは夕刻餌を求めて洞窟から飛び立つ何万羽というコウモリでした。そのコウモリが出てきた洞窟がカールスバッド鍾乳洞だったのです。コウモリは暖かいメキシコで越冬しますから、カールスバッド鍾乳洞国立公園でコウモリを見ることができるのは春から秋にかけてです。
鍾乳洞の前には石のベンチがまるで野外劇場のように設えてあり、コウモリが飛び立つ時間になると多くの人々が集まります。パークレンジャーが登場して、メキシカン・フリーテイルと呼ばれるコウモリや鍾乳洞の説明、そしてコウモリの飛行を見学する上で大切な注意事項を説明してくれます。
巨大な口を空けた鍾乳洞乳の回りを飛びまわるイワツバメを眺めながら、コウモリが現れるのはいつか、いつかと期待しながら待つわけですが、やがて巨大な鍾乳洞の入り口をなめるようにグルグル旋回しながらコウモリが出てきます。そうすると後は、出てくるわ、出てくるわ、数知れないコウモリの大群が洞窟から湧き上がり、日が落ち始めた大空に一筋の長い帯となって飛び去ります。7月初旬の例ですが、コウモリは7時20分頃から飛び始め、約15分間、洞窟からコウモリが沸き続けました。コウモリの数はその年と時期によりますが30万匹〜50万匹といわれています。
コウモリたちはきっと激しく鳴いているはずですが、周波数が高くて人間の耳には聞こえません。この壮大な出来事は静寂なうちに進んでいきます。しかし、人間の体は何か影響をうけるのか、深く癒された気持ちになる人が多いです。本当に不思議な光景であり体験です。

正式名称をカールスバッド・キャバーンズ国立公園といいますが、この鍾乳洞……これ自体が7不思議の一つです。
ナチュラル・エントランスから入っていくと洞窟というイメージではなく、正に地底世界に降りていくと言った方が適切なくらい巨大な空間が広がっており、それこそビルがそびえ立っていてもおかしくないほどの空間に圧倒されることでしょう。
コウモリは入り口に近い側洞に住んでいますから、見学するメインの洞窟ではほとんど見かけません。1cm成長するのに数百年かかるといわれる鍾乳石が、巨大な円柱を形成し何本も並ぶさまは、まさに地球の時の歩みを目の当たりにすることで、深く感動せずにはいられません。
鍾乳洞の内部はニューヨークの著名なアーティストが照明を手がけただけあり、洞窟の雰囲気を壊さないように鍾乳石が効果的にライトアップされており、この世のものとは思えない素晴らしい景観です。
地上にはビジターセンターがあり、車イスの方でもエレベーターで地下300mにあるビッグルームまで降りることができます。ビッグルームの大きさときたら、サッカー・フィールドが14も入る大きさです。見事な鍾乳石を効率よく鑑賞できるトレイルが整備されています。
有料で、レンジャーのエスコートでのみ入っていける部分のツアーがいくつか用意されています。キングス・パレスと呼ばれる部分を見学するツアーは、まるで壮麗な宮殿のように鍾乳石が見事で、お勧めです。
ニューメキシコの7不思議、カールスバッド・キャバーンズ国立公園で地球の懐に飛び込んでみてはいかがでしょう。
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